7/1 ②
大島です!
7月は公演やら本番やらでかなり演劇漬けでした。
もろもろ終わったので、ブログ更新するぜ。
しかし公演を経て、やはりこういう日常と演劇を繋ぐ試みは貴重だと思いました。
茜ちゃんさえよければもうちょっと続けたいなぁ。
さて、前回の活動報告から。
↓茜ちゃんがしてくれたWSについては前回の記事を参照。
茜ちゃんが用意したテキストに対し、僕は印象、感覚を伝え、書いたときのソレとどのように異なるか、ということを実証しました。めちゃくちゃズレてて面白かったです。
一方僕は、
大塚英志(作家、編集者、漫画原作者)の『物語の体操』という本から借りたWSをしました。これは「誰でも手軽に物語が作れてしまう!」というメソッドです。
・まずキーワードの書いてあるカードを用意します。(カードについて、細かいやり方については是非本の方を読んでみてください。ここではざっくり説明します)
・「過去」「現在」「近未来」「敵対者」「援助者」「結末」という6つの要素に対して、無作為にカードをめくり、それぞれにキーワードを与えます。
結果がこんな感じになります
この「勇気」とか「無知」とか書いてあるのが、キーワードになります。
それぞれの要素のキーワードに従って、短時間であらすじを完成させます。
1回目の組み合わせははこのようになりました。
(過去)勇気(現在)無知(近未来)ドエロ(敵対者)創造(援助者)悪(結末)慈愛
これで実際にやってみた結果。
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『無題』山下作
(起)
まぶたを開くと汚い路地裏にいた。
アスファルトの熱で下半身が焼けていた。体からは腐敗臭がしている。
動く気にもならないので小一時間ほどまぶたを開いたままそこに居座った。
同じく腐敗臭がする下半身の焼けた女が俺の前に立った。
「わたしって最高の身体してない?」
という第一声とともに俺は手を引かれ汚い路地裏を爆走した。
(承)
小一時間ほど爆走を続けたのち、パブへと入った。
汚い女はいっちょまえにシャンディガフを頼み、俺に仕事を依頼する。
わたしの身体を使って、有能なダッチワイフを作ってくれという内容だった。
そうだ、職人を目指していたんだっけ…
50度くらいのアルコールを120杯ほど流し込み、俺はホテル…は無いから廃ビルへ女を連れ込みあの手この手で女の身体を解剖した。
なるほどたしかに悪くはない身体だとはおもったが、いかんせん感度が悪い。それに下半身は焼けただれている。おれが見てきたビデオと違う。
(転)
森を作った老人が女の全身を焼き払った。
女が動かなくなったことより、
最高の身体…だったはずのモノでもうダッチワイフを作ることができないことに頭がいっぱいになった。
老人曰く、ダッチワイフとは本来そういうものだし、動かない女でいかにこちらが気持ちよくなることだと俺を諭していった。
おれは全身焼き爛れた女の身体を使い、最高だった不確かな身体…でダッチワイフ作りに励んだ
(結)
最高のダッチワイフを完成させ、俺はすべての生物の父となったのだった。
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『異常性欲の危険性についての短い報告』大島作
起 上下裸足(かみしもはだし)は27歳。留年を重ねて、すっかり高校生活に馴染んでしまった。そんな彼女は10年前勇気を出して告白したセンパイを事故で失ってしまった過去を持っている。かつては優等生だった彼女は学生運動の志士であったセンパイの死後、授業をボイコットして留年を重ねていた。しだいに学問を忘れ、彼女の学力は今や小学生以下だ。
承 そんな上下の前に新しいセンパイが現れる。百地(ももち)ルルブだ。彼は新しい学生運動のホープで、料亭の一人息子だ。彼はもたざるものの運動を標榜し、服も持たず、料亭を飛び出て、橋の下で、魚などを取って暮らしている。そんな彼と、橋の下でシンナー遊びを行っていた裸足は電撃的に出会う。死んだセンパイに告白したことを後悔する裸足。今日もセンパイを偲んで、センパイに対して独り言を言っていた。それを毎日偶然聞いていた百地は次第に裸足のことが好きになる。告白を悔やむ裸足に告白するか悩む百地。その橋は、そこで告白すれば必ず叶うという伝説の橋だったのだ……!それはそうと、シンナーを吸う度に脳細胞が壊れていく裸足。馬鹿になったあまりセンパイと百地を混同してしまう。思わずセンパイのふりをする百地。
転 しかし、そこで百地の背骨に異変が起る……! 橋から流れてくる魚たち同様異常な形に曲がってきたのだ。原因はおそらく、学校がこっそり行っている乱交パーティから流れ出た精子や卵子が魚たちと異常反応し、全く新しい生き物が生まれようとしていたのだ!
異常な魚から成長した怪物は街へ出て、人々を襲い、血の雨を降らせている。
結 魚たちは自分たちを生んだ人間のエロさを憎んでいた。それ故に、セックスを行っていた人間、エロいことを考えている人間から殺していく。そうして世界は崩壊に向かっていったが、シンナー遊びですでに脳が崩壊している裸足には魚は一向構わない。
百地は裸足を見ながら、持たないということについて学ぶ。そして、裸足を持ちたい自分のエゴとエロに気がつく。その瞬間魚に食われる百地。自分の主義は誤りだったと気づく。裸足は百地を慈しみその死を看取る。
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出来不出来はともかく、たしかに何かしらの物語ができました。
2回目
要素などはまあ、写真の通りです。
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『ゲームは一日一次元』大島作
起 最近結婚したA氏は趣味のゲームを一日一時間という約束をさせられる。かつてA氏が天国に居た頃は神さま許しを得て一日中ゲーム三昧だった彼も、結婚したからには金を稼ぎ、畑を耕し、子孫を繁栄させなければならないのだ。
承 1000年後、今や一大王国を気づいたA氏は今日も真面目に働き、悪を滅ぼし、善を勧め、そして一時間だけゲームをしていた。A氏がゲームをしている間は日が隠れ、暴風が吹き荒れ、雹(ひょう)や蛙が降り、家畜が謎の病で次々と倒れてしまうので、A氏の親友であるI氏の元には民たちの陳情が列をなしていた。「どうかA氏のゲームをやめさせてください」I氏は民草の声をA氏に伝え、A氏は深く悩んだ後、ついにゲームをやめる決意をした。
転 すると、民草の間から病は消え、街から腰の曲がった老人はいなくなり、若者たちは恋を謳歌し、ヤギは野を駆け、小鳥はさえずり、鶏は100年でも元気な卵を産み続けた。一方A氏は人格が変わったようになり、善を滅ぼし、悪を勧め、日本酒の10リットルボトルとか飲みはじめ、馬券を買うようになった。民の陳情によりすぐに、ゲームの時間は復活した。しかし、今度は1時間では収まらず、ゲームを7、8時間非常にだらだらルーズにやるようになったA氏、彼は以前のようの温厚さを取り戻したものの、またもI氏の元には民草の陳情の列が。そこで一計を案じたI氏は、神様に無断で世界をもう一つ作り、A氏をそこに案内する。そこはゲームの世界で、現実こそが娯楽なのだった。1日に1時間だけ現実することを許されたA氏と1日に一時間だけゲームすることを許されたA氏。二人のA氏が存在することになった。彼らはそれぞれの世界の良さを堪能、感想交換をしながら晩酌するのを習慣とする。
結 あまりに訳がわからなくなったので、とうとうお嫁さんに殴られたA氏、2人のA氏は愛の力で、一つになり、2つあった世界も統合した。しかし、それはかつてのように統一感ある完璧な世界ではなく、ゲームと現実の入り交じった奇妙な世界だったのだ。
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『無題』山下作
(起)
リーダーであるアラキはこの村の荒れた畑を護る為に、野菜果物が瑞々しくする為に、肥料はアラキ・イセキ・ミキネの血を使うことを地主に伝える。
(承)
血なんて使うのは親に失礼だし、ほぼ水でできた野菜果物を育てるのは何よりも水だと隣村出身の地主は反対したが、ミキネの曽祖父の曽祖父くらいの世代に血で畑を耕していた文献を見せられると、ミキネ家は代々信憑性の高い学者の家系だったのでそれ以上何も言えなくなった。
(転)
血を使いすぎたイセキは数日で倒れる。まだ血色もいいアラキとミキネは癪だが腕はいい隣村の医者へとイセキを運ぶ。血液検査をしてもらうとよくない成分が検出された。石油とか。
ミキネはすぐ家に帰り調べる
(結)
畑を麗しているとおもっていた自分たちの血は、隣町から流れている川の水でできたものだった。イセキはまもなく死ぬし、アラキとミキネもそのうち同じように倒れ、死ぬことがわかっただけだった。文献なんて何も意味がなかったという事と家の名前に傷をつけたミキネは倒れるのを待たずして川へ身投げした。アラキだけは、いい脂肪でイセキより5年生きられた。
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以上が僕のWSの結果でしたが、
このあらすじでさえ、お互いの手癖が良くも悪くも出るんだなぁというのが感想です。
また、援助者と敵対者、過去と結末などを予め決めることによって、物語が半自動的にできてしまう、ということが実は結構興味深いです。
今回WSをやる前に、茜ちゃんとお互いのやりたいことについて話しました。
僕の出した案は「劇作」と「演劇自体とは関係のない、演劇?な」こと、だったので自分の興味の方向が見えたという収穫もありました。
ではまた!