ローリングあざらし撲殺活動記録

その軌跡。議事録。文章置き場。その他なんでも。

ミノタウロス会アーカイブ(前編)概要&Wikipediaを読んでワイワイ話す

開催日時:2020年11月28日

開催場所:阿佐ヶ谷地域集会所

参加者:5人(荒田、大島、小室、徳永、山下)

 

【進行】

13:10〜13:30 自己紹介&近況報告

13:30〜14:20 資料熟読&話し合い

14:20〜15:00 黙々とシノプシス執筆

15:00〜15:30 印刷タイム&休憩

15:30〜16:30 1つ1つシノプシスの講評、意見交換

16:30〜    休憩を挟みつつ、シノプシスをプロット化することについて考える

 

【お詫び】 執筆前セッションの部分について。 ICレコーダーを起動したタイミングの関係で、荒田さんのトーク部分が録音できていませんでした。 ノートによると、何故14人も生け贄が必要なのか、またミノタウロス伝説の起源となったといクレタ島で行われた祭りが大層興味深い。という大変面白いお話でした。載せられなくてごめんなさい。(大島)

 

Wikipediaを読んでワイワイ話す】

大島(司会進行)皆さんには配布資料

Wikipedia「ミーノータウロス」↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%82%B9

を読んでいただきました。シノプシスを書く前に、その材料として話をしたいという感じですね。よろしくお願いします。

小室 なんでWikiなんだろう。Wikipediaって誰でも編集できるじゃないですか。本じゃなくてWikipediaっていうのは、特に意図があるわけじゃないのかなって思うんですけど、逆にすごく面白い。このミノタウロス自体が伝説じゃないですか。何でもない人とかが少しずつ知恵を出し合って、1つのミノタウロス像がWikipedia上に出来てる。編集履歴みたいなのを見ると「PRIDEに参戦しているアントニオ・ロドリゴノゲイラはこの怪物のように強いことからミノタウロという異名を取っていた」とかそういうどうでもいい記述が消されたり増やされたりしていて、なんかいいなぁー、面白いなっていう。あとストーリー的に見たときに、最近歌舞伎ハマってるんで「ちょっと歌舞伎っぽ」とか思ったり。あとダイダロスが本当にお助けキャラっていうか、この模型を作ったり、迷宮を建造っていうのも純粋に意味分んない。

大島 自分がないよね。

小室 まあそういう仕事だと思うんですけど。こういうお助けキャラっていうか、何でもやらされる人、いいなぁっていう。……この7人の少年、7人の少女っていうのがどれくらいの年齢かわからないんですけど、テセウスの方はやっぱ英雄っていうからにはもうそれなりに、

一同 本当だ!

小室 すごい年上のテセウスが生け贄として差し出されたのがちょっと面白い。あと「古代のクレタ島では実際に人間と牛が交わる儀式があったとされる」っていうのも、皆が欲求不満で牛をそういう風に使ってたのか、儀式っていうからには何か意味を持って牛と交わってたのか。どういう意図を持ってたんだろう。

大島 あったとされるだからなぁー。

小室 それもWikipediaを信じていいのかどうかみたいなところもあったんですけど。しかもミノタウロスの話、ミノタウロス人間性みたいなところに全然言及されないじゃないですか? 

徳永 うん。

小室 『成長するに従い乱暴になって手に負えなくなる』とかも理由がないじゃないですか、元々の牛としての気性がそうさせてるのか、牛の頭を持ってるっていうフラストレーションとかがそうさせてるのか。

大島 悲しいなぁー。牛なんだな、頭が。

小室 わかんないのが面白い。余白がすごくあって、ドラマチックなこといっぱい起ってて面白いなーって思いました。はい。

 

徳永 それぞれにエピソードが詰まり過ぎてて「誰でも主人公に出来そう」みたいな感じがあった。でも僕もミノタウロスが特に気になって。やっぱり「成長するに従い乱暴になって手に負えなくなる」のはたぶん、外的要因がいっぱいあったんだろうな、可哀相な奴だなって思っちゃった。だけどその少年期のトラウマからやっぱり……少年少女を集めたがる。

大島 どういうことだよ!

徳永 子供の頃牛だから構ってもらえなかったから、やっぱりちょっと少年少女と楽しくプールとか入って遊びたかったんだろうなと思って。それを迷宮でやってたんだろうなぁってちょっと思っちゃったね。ダイダロスに作らせて。ダイダロスは便利屋だから。そのダイダロスの便利屋感もみんな言ってたけどやっぱり面白い。「雌牛の模型を作って」って言われた時の顔が見たい、ダイダロスの「(戸惑い)あ、ああぁ?」みたいな。

大島 「牛が好き」って切々と訴えられる。それで一晩考えて、色んな手考えて、結局雌牛の模型プランに。

徳永 素材とか考えるんだと思って「フェルトじゃ無理だな」とか。

大島 初めは冷めてたけど作ると興奮してきて、のめり込んできて、

徳永 わかる。アーティストだから作るときにはもうもの凄くのめり込んじゃう。後はポセイドンのアイデアも凄い。「復讐どうしようかな」って思ったときに「そうだ。雄牛に性欲を催させて、ファックさせよう」ってなったポセイドンやべぇ。

大島 神様だから。

徳永 やっぱ神様やべぇなぁ。あと最初は「星」「電光」と名付けられたのに、結局「牛の王」みたいな「ミノス王の牛」みたいな結局、牛繋がりで呼ばれてしまうことに、アイデンティティの葛藤があったんだとも思うよね。

大島 そうか、本名はアステリオスなんだ。でも、この「呉茂一によると『アステリオス』という名前は、ゼウスの別号である『アステレペーテース』と同じ名前であるという」っていう記述も小室の言った通り、怪しい感じに見える。

小室 でも後ろに[1]っていうのがあるから出典があります。

大島 あ、そっか。ともかく、これを載せたいと思った奴がいて、それまでの文章にくっつけたわけだ。その辺がなんか皆の想いの集合体って感じがする。

徳永 このページの出典があるんここだけ?

小室 呉茂一自身が書き足してる可能性も。

大島 昔の人! でもあるやもしれぬ。

徳永 ミノタウロスにはトランスジェンダー的な葛藤もあったんだろうな、って。

大島 どういうことですか?

徳永 外見との内面とのギャップでこう。

大島 あー、内面は人間なのに!

徳永 人間なのに牛ってカテゴライズされていくことに葛藤があったのかなって。

大島 寝るとことか牛の方に近かったり

徳永 プレゼントで藁とか渡されただろうし。自分が何食うかもよく分からない。でも半分人間やから。牛の中に入ったら牛もたぶん引くと思うんよね。牛サイドもミノタウロスに対してドン引きするとこあるかなぁって思って。

大島 牛と一緒に寝ようとしたけど、

徳永 牛は寄ってこないとか。結局牛でもないから牛の友達も出来ないだろうなと思って。で、牛たちの上を少年少女が飛び越えるイベントっていうのもあるから、たぶんこいつ相当少年少女好きなんやなと思って、まあ、祭りやけど。みたいな感じですかね。

 

山下 あの、頭が牛なわけじゃん。どこにこう美しさを感じるんだろうなー。みたいなのはちょっと気になった。頭に注目したのか、その頭を持ってる身体に魅力があったのか。

大島 美しさ?

山下 そう。それを思ったのが一つと、あとは、少年少女たちが牛の上を飛び越えるイベントがそんなに楽しいものなのか。

一同 はははは。

山下 いや、ないじゃん、そんなことなんか。

徳永 でも跳び箱の昔の形みたいな。

大島 牛なんだ。調教された牛が。

山下 そっか。人気なのか。

大島 でも陰キャにとっては楽しくなかったと思うよ。

徳永 祭りに対してみんなどう思ってたのか知りたいよね。「きたきた」ってなるのか。「また牛と交われるぜ」みたいになるのか、そうでもないのか。

山下 そういうモチベーションなのかな。

大島 でも牛に託(かこ)つけて自分たちが盛り上がりたいっていう奴らに持っていかれてて、ほんとに牛が好きだった奴は楽しめなかったのかもしれない。

小室 本当に牛が好きってどういう……、

徳永 そいつはあんまり、どこへ行っても楽しめないと思うんだよね。

大島 わーわー言いながら飛び越えたり、すげー牛と戯れたりする奴らを傍目に見ながら「おれのが牛が好きなのに」「あんなやつら全然牛好きじゃないのに」って。

荒田 大島さんが牛が好きなのは、どういうところが好きなんですか?

大島 うーん、好きっていう理由が確固としてあるっていうより、台本書いたりしたときに、わりと牛が出てきたりすることに最近気がついたという感じです。

徳永 僕も芝居に牛と虎よく出してしまうかもしれん。

大島 もしかして好きなのかなぁ? みたいな疑いっすね。あんまり牛好きだと思って生きてこなかったんすけど。

徳永 理由はわからんけど、牛ってなんか象徴的よね。

大島 あと、この絵(Wikiの絵)がすごい良くて。取っ組み合ってる。牛であるミノタウロスが初めて他者とコミュニケーションを取ってるようにも見える。

小室 (絵について)頭だけとか言いつつ足とか、尻尾とかすごいめちゃ牛。

荒田 尻尾生えてますね。

大島 あとよくわかんない点々みたいなのが身体にいっぱいある。

徳永 ホンマや。毛?

大島 毛なんじゃないすか。……あとやっぱ角つかまれるんだよなぁー。

荒田 この後ろから延びてる白い手みたいなのは誰の手なんだろう?

大島 ほんまや、けしかけてるやつがいる。

徳永 少年少女。

大島 ほんとだ、でも一人だけ白い。

荒田 白い、か細い、か細い手。

大島 なんだろう。言われるまで気づかなかったっすね。

小室 全然関係ないんですけど、母親的にどうだったのかなって。正気に戻ったのか? めっちゃ「白い牛やば!」と思って子供ができて、頭とかどういう風に白い牛を受け継いでたのか分らないですけど、母親的には「いや可愛っ!」ってなって普通に愛して育てられたんだったらそれはそれでハッピーな感じもしそう。

大島 でもこれ書いてないっすねぇ。パーシパエがどうだったか。

徳永 ミノス王は黙って閉じ込めたけど。母親は、

大島 省略されてる。このあらすじ、シノプシスにおいて母親ははじめしか存在しないんですね。

徳永 ずっと牛好きな奴おったらちょっと扱いにくいってことなんかなぁ。

大島 母親の存在が消えてるってことも言われるまで気づかなかったっすねぇ。

小室 でも生け贄を送り続けてんのは母親かもしれない。

大島 あー。

小室 とか色々、そういう想像力の介入の余地がありますよね。

大島 ありますね。

徳永 閉じ込めたら、別に生け贄を送る必要なくない? ってなるもん。

大島 もう閉じ込めてるんだから。だけど母親が、

小室 まあ食糧として。

荒田 この閉じ込めたっていうのも、最初読んだときに疑問で。なんで殺さなかったんだろう?

大島 本当だ。っていうか迷宮を作って閉じ込めるってマジで意味分んないっすねぇ。

徳永 罰ゲームなんよなぁ基本的に発想が。

山下 迷宮って作れるの?(「迷宮」なのに)

大島 ダイダロスだからさ。すげー、めっちゃ考えて「自動的に壁が動く」とか「鏡を使って」とか。

徳永 ぼくポセイドンの入れ知恵かなって、てっきり思っちゃったけど、ポセイドンとは喧嘩してるもんね、ミノス王は。

大島 入れ知恵って言うのは?

徳永 この変な罰与える奴がポセイドンなのかなって。多分違うだろうけど。

大島 謎が謎を呼びますね。

徳永 息子殺ししたくなかったんかなぁ。

大島 あー。殺したくないけど一生飼う。座敷牢や。

徳永 息子殺したらほぼ地獄に落ちる感あるやん。

大島 地獄ないでしょギリシャに……いやあるか、地獄はあるか。

徳永 ハデスかなんかのところに落ちるでしょ。ハデスのところが地獄みたいな扱いじゃなかったっけ。

大島 なんか混乱してきた。ギリシャ神話とキリスト教、もうあんまミノタウロスの話と関係ないけど。

小室 ギリシャ神話に行っちゃうともう。関連性とか無限に広がり過ぎて。

徳永 ディズニーの『ヘラクレス』しか知識ない。

大島 (ギリシャ神話は)ユニバースだから。

徳永 とりあえずヤなこと起きそうやん、息子殺しは。呪い的なものありそう。

大島 とりあえず、なぜ迷宮に入れたかってことについては色んな意見があると。

 

大島 ……あれ、ミノタウロス別に王の息子じゃないですよね?

荒田 妻の。

大島 妻の子供だ。っていうか、白い牛はどうなったんだよ! 母親とどっか行ったのかな。

小室 あー。それいいなぁ。

荒田 母親と駆け落ち。

大島 駆け落ちして、残されたのがミノタウロスだけなんだ。

徳永 味方がおらんのや。

大島 ミノタウロスが、

荒田 妻の、

大島 妻との唯一の、

荒田 つながり、

大島 つながりなんだ。複雑な話だなぁ。

荒田 それか娘しか生まれなくて、万が一、呪いが解けたら。万が一牛から人間になったら、王位を。

大島 そういう気持ちはあるかもしんない。なんか、メルヘンですねちょっと。

 

大島 ポセイドンって便利ですよね。ギリシャ悲劇とかってそうですけど、神様が命令することによってめちゃくちゃ話の大枠ができるというか。

徳永 だいたい初期設定神様が作るよね。……ダイダロスが「雌牛の模型作って」って言われた瞬間、シーンとして映(ば)えそうよね。

大島 牛と交わってたことを知った夫の気持ちやいかに、みたいな。

徳永 「寝取られた!」みたいな気持ちになるのかなぁ。

大島 さあ。「ポセイドンめぇ!」ってなるのかも。

小室 ポセイドンは「じゃあもうお前の嫁をめちゃくちゃにしてやる」って言って、やったのか。その場は怒っただけでそのことは言わなかったのか。

大島 なんとなくこの文章だと知らぬ間に騙して、別の牛を生け贄として捧げて、上手いこと騙したぞと思ってたけど、見抜かれてて、で、呪いをかけられて。

徳永 おいおい予言者的な人が出てきて説明してきそうよね。

大島 オディプスじゃん。

徳永 みたいなノリで説明してきそうじゃない?

大島 でも、できますよね。「なんでこうなったかっていうと、お前があの牛を生け贄に捧げなかったからだ」って言われて「あぁーっそうだったのかぁ」って。

徳永 ……ミノタウロスがおるってことは市民たちも知ってたのかな。

大島 市民たちが出てきた。

徳永 なんか自分にそんな関係者がいるってことを隠したいのかなこいつって思って。

大島 皇室のゴシップみたいな感じなんすかね。「王には牛の子供がいるらしいぜ」「迷宮に閉じ込められているらしいぜ」

徳永 ミノタウロス、ラビリンスの中で何して暮らしてたんやろ。

大島 謎ですね。

徳永 少年たちと戯れてたんかなぁ。マイケル・ジャクソンみたいに。

 

大島 ごはんどうするんだろう。

徳永 ごはんね。

大島 生け贄いたわ「食糧としてアテナイから9年毎に7人の少年、7人の少女を」

徳永 足りる? 9年で、1年に1人ぐらい?

大島 めっちゃサバイバルするんですよ少年たちは。で、ちょうどいい具合に。9年生き延びた奴がいて、そいつが最後に食われて、次の子供たちが入ってくるんですよ。

徳永 ミノタウロスそれ楽しんでるんやろうなぁ。そんな、ハリウッド映画みたいになってきた急に。

大島 でも日本の映画たまに、こういう風に閉じ込められて誰が生き残るかみたいなんありますよね。

徳永 あるある。定期的に流行るよね、なんか。生け贄の少年サイドからの話。

 

徳永 ピカソがさあ、このミノタウロスに「男を嬲り殺し女を陵辱し快楽の限りを貪るこの怪物に」って書いてるけど、ぼく、この一文を読む限りそこまでのイメージは沸かんかったんよね。

大島 でもやっぱ、このWiki以上に色んなイメージが散々使われまくってる怪物だからじゃないですか?

徳永 「異端者の地獄で異端者を痛めつける役割」って書いてあるけど、こいつが一番異端なんよね。

 

話し合いのあと、ある者はノートPCで、ある者は紙とペンで、黙々と執筆をはじめる。

できたシノプシスとそれに対する講評は後編にて!

 

後編はコチラ(後編)シノプシス発表&講評