ローリングあざらし撲殺活動記録

その軌跡。議事録。文章置き場。その他なんでも。

公演アーカイブ②「合作のあらまし」(大島)

 

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今回の戯曲(演劇の台本)を書いた二人。プロレス観劇する小池栄子を演じているのが山下。ただ立ち尽くしているもこみちを演じているのが大島。

以下、大島の主観である。山下の考えはわからない。そして、嘘がたくさんある。もはやよく良く覚えてないので。

 

(前提)

なぜ合作にしたか? 

たしか僕が持ちかけた気がする。やはり、どちらかの作品にどちらかが奉仕する、というのは、よっぽどのモチベーションがなければならぬ、と思い、それならば、一番モチベーションが明確な、2人とも自分の作品である、というのが手軽だと考えた。ちなみにスタッフや役者も2人のみなのは、コンセプトがよりくっきりして、面白いと思った。あと、省エネ(?)のためだ。

 

(作風)

私も山下も同じ教育機関で勉強したにも関わらず、台本に対する考え方、仕事の進め方が全く違った。しかし、同じ教育機関で勉強したゆえに、共通の経験・知識、相手の作風に対する理解があり、意志の疎通がスムーズであった所もある。そして作風自体にも多少の共通点があるように思えた。

 

おそらく(というのは山下のことは知らないからだ)われわれはあまり正統派の物語を書いた事がない。起承転結がきちんとあり、丁寧に登場人物や場面についての説明があり、謎があり、事件が起きて、事件を解決する過程で、登場人物の人間性を見せ、客に彼らを応援、または嫌悪させ、そいつらの行く末、事件の結末をしっかりと描く。という物語を書いた事がない。

 

代わりに僕らはともに「変なセリフ書き」であるように思う。一つの場面やら、シーンやらを、興味深いものとして書く事ができ、登場人物に変なセリフを吐かせる事ができる。一方、地道な説明や、伏線を重ね、それらが積み重なって、ドンっというものはやったことがない。今回も特段それは目指さなかった。(いつかはできるようになってみたいと個人的には思っている)代わりに何を目指したかと言うと、

 

何を目指したんだろう?

 

しっかりした物語の代わりになるものとは一体何で、どうすればそれを達成できるか。そこは大変曖昧だった。しかし全てが曖昧なままでは何も書けないから、書くために必要なTODOリストみたいなのを設けた。これとこれを書く、ということだ。

 

(合作の手順)

公演日がまだ遠い頃、それでも公演の実行は決定した頃。

お互いに「私戯曲」というお題で作品を書こうとした。

この私戯曲という言葉については、前の記事にも書いたので説明は割愛する。

そして、それぞれ、合作のことは考えずに書いた。

 

山下のお題は「子供時代」

大島のお題は「社会人経験」

 

そして、それぞれ一本ずつ戯曲を書いた。やはりしっかりした物語性を持った戯曲ではなかったけれど、とにかく2本の戯曲が出来た。一度それを適当に繋ぎあわせてみたが、当然、全く繋がらなかった。しかし、オムニバス的なもの、2本立て的なものは、今回はやりたくなかったので、どうやって一本の作品にするか戦略が必要だった。

 

話の流れで、戯曲の中に3つの層を作ることにした。

 

A 大島、山下が話すシーン。

B ペペとエミオール、作家志望の二人の話。

C ↑彼らが書いたお話のシーン。

 

で、Bがメイン。Aはオマケみたいなもんで。Cはふざけて遊ぶための枠みたいなもの。

 

Bは下記のようなシーンで構成される。それは事前に話して決めた。

 

・二人(ペペとエミオールの子供時代)の話。

・エミオールとペペが絶交する

・エミオールが就職する

・ペペはアラスカに行く。

・二人は和解する。

・ペペは鹿に食われて死ぬ。

 

繰り返すが、AとCは何でも良かった。効果的であれば何でも。この場合効果的とは客を飽きさせない、とか、Bの物語を補強する、とか。

 

(艱難辛苦)

以上のことが決まっても一本の芝居をでっち上げるのは難しかった。あらすじやプロットについて話し合っていると、疑問点がいっぱい出てくるから、それに回答していけばお話が出来るかなと思った、まぁそんな感じで書き進めた。

 

(例)なぜ二人は絶交したか?

   なぜ二人は和解したか?

 

だがしかし(なぜだ!?)結局、まともな答えと、それを提示するための丁寧な筋道は用意できず、なんとなく、それまでに書き続けたシーンを流用したり、ねじ曲げたりして対応した。だから終盤はとても曖昧なものになった。

 

他に、AのシーンとCのシーンは何でも良すぎて、無限に違うものが書けてしまうという問題が発生した。何バージョンもできた。Cなんて、もはや、没原稿の方が多い。

 

それでも書き続けて、なるべく、自分たちが納得できるものを残して、お客に取ってわかり易いか、どうかということを、それなりに意識して、時間内に出来たのが、今回の脚本だ。

 

以上が、執筆の行程だが、ここまで書いて、大島にとっては非常にいつもの(一人の)劇作と変わらないなぁと思った。そのことは、たぶん、なんらかの問題を孕んでいる。ここでは深追いしないが、山下には、私のペース、やり方に合わせてもらった所が多かったように思う。

だから、思ったよりスムーズだったというのは私の視点での話だけなのかもしれない。